パートやアルバイトの収入にとって、社会保険料の支払いは無視できない出費になります。計算方法を覚え、いくら引かれるのか事前にわかっていないと思わぬ額を引かれて困る事もあるでしょう。
社会保険料は収入によって大きく増額されるタイミングがあるので、仕組みを理解していないと働く時間を増やしたのに給料は減っているという事態に陥ってしまう場合もあります。
そこで今回は、社会保険料の計算方法を紹介するとともに、保険料が跳ね上がるタイミングも合わせて解説していきます。日ごろから保険料の支払いに頭を悩ませている人はぜひ目を通してください。
パートの社会保険料の計算式
社会保険料の計算式は以下の通りです。
社会保険料=標準報酬月額×保険料率
この二つの項目は、社会保険のホームページで確認する事ができます。この数字は都道府県によって異なるので、他県の数字をあてはめないよう気を付けてください。
ここで一つ気を付けなければいけないのが、標準報酬月額を出すために参照する報酬月額は、働いている期間によって算出方法が違うという点です。具体的な計算方法の違いについて見ていきましょう。
社会保険料を計算(パートを始めたての人)
報酬月額を計算する場合、パートを始める人、若しくは初めてすぐの人が参照する数字は、初月の給与見込み額に通勤手当を足した数字です。
給与見込み額は、シフトの時間に時給をかけて求めます。一か月分であればシフトも発表されていると思うので、シフト表を確認してみましょう。
通勤手当は忘れやすいですが、この金額も報酬月額に含まれます。税金の計算等には含まれないので間違いやすいのですが、報酬月額を計算する際には忘れずに含めてください。
続いて、ある程度同じ場所でパートを続けた人の計算方法を見ていきましょう。
社会保険料を計算(ある程度パートをしていた人)
一定期間以上同じところで働いている人の報酬月額の求め方は以下の通りです。
報酬月額=4月、5月、6月の給与+通勤手当÷3
4~6月分の収入+通勤手当の平均値が報酬月額となります。つまり、年間で支払う保険料は4~6月の収入に左右されるという事です。
そのため4~6月の労働を減らせば、年間で支払う社会保険料を減らすことができます。とはいえパートやアルバイトが4~6月だけ意図的にシフトを減らすのは現実的に難しいので、知識に留めておくのが無難です。
さて、以上の方法で算出した標準報酬月額に各都道府県ごとの保険料率をかける事で、社会保険料を計算する事ができます。ですが、この数字は単純に比例して大きくなるわけではありません。
収入が一定の額を超えた時に新たな支払いが発生し、かえって収入が減る事もあるのです。ではそのボーダーとなる額について見ていきましょう。
事前に計算してパートの社会保険料を減らす!
基本的に、パート主婦は夫の扶養に入っていれば保険料の支払い義務はありません。ですが、妻の収入が一定額を超えると特例が適用されなくなり、保険料を支払う必要が出てくるのです。
そしてその一定額のボーダーとなる金額が「106万円」と「130万円」です。金額以外にも条件があり、それを全て満たすと保険料支払いの義務が生じる事となるのです。
106万円
以下の条件を満たすことで社会保険料を支払う義務が発生します。
①パート会社の正社員が501人以上
②月の収入が8万8000円以上(年間105万6千円以上)
③一年以上雇用されている、若しくは見込み
④労働時間が週20時間以上
⑤学生ではない
上記の条件を全て満たすことで厚生年金と健康保険に加入するしなければいけなくなります。ただし社会保険料の負担は会社と折檻するので、将来貰える年金や保障内容を考えれば悪くないといえます。
130万円
130万円に到達し、以下の条件を満たすと国民保険と健康保険に加入しなければなりません。
①106万円到達時の社会保険加入の条件を一つでも満たさない
②月の収入が10万8,334円以上(年間130万円以上)
国民保険は全額自腹なうえ、保障内容も社会保険には及びません。可能であれば社会保険に加入することをお勧めします。
社会保険料を計算して効率のいいパートタイムを
上記の通り、収入が105万円と106万円、129万円と130万円では実際の手取りは大きく変わってきます。ぎりぎりになって調整しようとしても手遅れの場合が多いので、普段から計算しておいた方がいいでしょう。
社会保険に関しては一概にデメリットばかりではありませんが、手取りが減ってしまうのは事実です。ですから将来の事を考えるのか、今の収入を増やすのかを天秤にかけ、パートの時間を調整しましょう。
また、扶養にも入っている主婦が国民保険に加入するメリットはほとんどありません。保険料の支払い損になる場合も多いので、会社の社会保険に加入するか、年収を130万円以下に抑えるのが無難です。
まとめ
パート主婦やアルバイトの社会保険料は、働きはじめとそうでない場合で計算方法が違います。各都道府県によっても数値が違うので、間違えないよう気を付けてください。
保険料は、年収が106万円と130万円を超えると負担額が増大します。手取りを減らしたくない場合は、年収をこの額以下に抑えるよう普段から計算を怠らないようにしましょう。
給与や労働時間は年間で見ていくものなので、保険料がかかるからと急にシフトを激減させることは難しいです。普段からいくら働けばいいかを計算しておくことが大切なのです。
出来るだけ保険料を抑えたいという人は、今回紹介した社会保険料の仕組みを参考にパートの時間を調整してみましょう。