大切な家族を失った人にとって金銭面で大きな助けとなるものが遺族年金です。申請方法や必要書類はややこしい手続きが必要ですが、申請するとしないとでは今後の暮らしに大きな影響を及ぼします。
大切な家族を亡くして悲しみにくれる気持ちはお察ししますが、遺族年金の手続きは早いほど後の生活が楽になります。お金の余裕は気持ちの余裕にもつながるので早めの手続きをするべきでしょう。
今回は遺族年金の申請方法や必要書類等をまとめてご紹介します。少しでも負担を軽くするという意味でも、ぜひ目を通してみてください。
遺族年金はどこに申請すればいいの?
遺族年金の申請先ですが、加入している年金の種類によって届け出る先が変わります。事前にどの保険に入っていたか確認しておきましょう。
① 国民年金加入者の場合
自営業などで国民年金に加入している方は、自分がお住いの「市区町村の役所にある年金担当窓口」で手続きを行います。役所には死亡届の提出で先に訪れることになるので、その際に一緒に説明を受けるとよいでしょう。
② 厚生年金加入者の場合
会社員や公務員等で厚生年金に加入している場合、「各都道府県にある年金事務所」での手続きとなります。所在地は事前にインターネットで調べておくとよいでしょう。日本年金機構のHPから確認することができます。
因みに以前は、公務員の方に関しては共済年金と言い厚生年金とは別でしたが、平成27年10月より厚生年金に統一されましたので間違えないよう気を付けてください。
国民年金加入者がもらえるのが遺族基礎年金、厚生年金加入者がもらえるのが遺族厚生年金と言います。人によっては二つ合わせてもらえる場合もありますので忘れずに申請しましょう。
遺族年金の申請に必要な書類一覧
まず必要になるのが年金請求書で、これは日本年金機構でダウンロードできます。これに必要事項を記入したうえで各種書類を添付することになります。この書類は人によって違ってくるので以下で解説していきます。
① 必ず必要な書類
- 年金手帳
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 死亡者の住民票の除票
- 請求者の収入が確認できる書類
- 子の収入が確認できる書類
- 市区町村長に提出した死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
- 受取先金融機関の通帳(本人名義)
② 死亡の原因が第三者行為の場合に必要な書類
事故や傷害、稀ですが殺人等第三者からの行為が原因で亡くなった方の遺族年金の請求には、上記のものに加えて追加の書類が必要になります。
理由は加害者から損害賠償を受けている場合、最大で24か月は遺族年金の支給が停止されるという決まりがあるからです。遺族年金はあくまで生活を支えるものなので、損害賠償金と遺族年金は同時にもらえないのです。
- 第三者行為事故状況届
- 交通事故証明又は事故が確認できる書類
- 確認書
- 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類
- 損害賠償金の算定所
他にも海外にいたり事実婚で共生していなかったりする場合など例外的な状況で必要な書類もあります。その際は「ねんきん」ダイヤルで確認するとちゃんとした書類一覧をご確認いただけます。
注意!申請しても遺族年金をもらえない場面!
遺族年金はいつでも誰でも必ずもらえる、というわけではなく期限や条件次第でもらえない場合もあるのです。
まず、遺族年金の請求には実は期限があります。亡くなられた直後はそれどころではないかもしれませんが、いつまでも先延ばしにしてしまう受け取れなくなるケースもあるので気を付けましょう。
遺族年金申請の機嫌は、基本的に受給権が発生してから5年で時効になります。ただし5年を超えても適切な理由があれば、必要な書類をそろえることで時効の撤回を求めることができます。
そしてもう一つ、亡くなられた月の前々月までの一年間に保険料の未払いがあると遺族年金を受け取る事が出来ません。万が一保険料の未払いがあるという方は支払い忘れのないよう気を付けてください。
どれくらいかかるの?遺族年金の申請から貰えるまで
遺族年金はすぐに貰えるわけではありません。すぐに準備を進めたとしても、早くて4か月程(110日)かかってしまいます。実際は書類を揃えたり手続きを進めたりで半年近くかかる事も多いので、早めの手続きをお勧めします。
まず年金を申請し、「年金証明・年金決定通知書」を送付してもらうまでに約60日かかります。そしてそこから「年金振込通知書」及び「年金支払い通知書」が日本年金機構から送付されるまでに約50日かかります。
そこまで終えて初めて遺族年金を受け取れます。以前は所得が少ない人向けの補助として臨時福祉給付金というものがありましたが、現在はないようです。ですから家計が圧迫される前に、面倒でも早めの手続きをするとよいでしょう。
遺族年金と一緒に申請して受け取れる年金は?
基本的に年金は1人に1年金で二つ以上はもらう事が出来ませんが、年金の種類によっては1つの年金とみなされて一緒に受け取れる場合もあります。
例えば障害基礎年金と障害厚生年金は同じ区分に分類されるので一緒に受け取る事が出来ます。同じ理屈で遺族基礎年金と遺族厚生年金も一緒に受け取る事が出来ます。
それに対して障害基礎年金と遺族基礎年金のような場合だと、一緒に受け取る事が出来ません。区分が違う年金は一緒には受け取れませんので注意しましょう。
まとめ
遺族年金を受け取るためには数多くの書類を揃えた上で、適切な場所に申請を行い、それでもなお長い時間がかかってしまいます。ですからすぐにでも手続きを進めなければいけません。
大切な家族を失ってすぐに手続きを進めるのは時間的にも精神的にも困難ですが、収入がなくなる事で家計を圧迫してしまう事もまた事実です。
今回は申請場所や必要書類などもわかりやすくまとめましたので、こちらを参考に早めの手続きを心掛けてください。
【参考文献】