近年暖房器具として注目を集めているオイルヒーターですが、デメリットも多いという話を耳にする人も多いのではないでしょうか。暖房器具は日常的に使うものなので、変なデメリットがあっては困ります。
決して安い買い物でもないので、どんなデメリットがあるか把握しておかないと思わぬ不利益を被る事もあります。ヒーター側だけでなく家側に問題がある場合もあるので、購入には慎重にならなければなりません。
今回は、オイルヒーターのデメリットを紹介したうえで、デメリットが影響しやすい家の特徴も見ていきます。メリット面も合わせて紹介するので、購入を検討している人は参考にしてください。
オイルヒーターのデメリット(実用性)
まずは実用面でのデメリットから見ていきます。特徴としては、以下のデメリットが考えられます。
温まるまでに時間がかかる
オイルヒーターは点火してから部屋全体を温めるのに最低でも30分、場合によっては一時間もの時間がかかります。これは電気を使って中のオイルを温めるというオイルヒーターの仕組み上どうしようもありません。
ですから寒い日に帰ってきて部屋を暖めようと思っても、しばらくは寒さに震える事になります。暖房器具としては割と致命的なデメリットと言えるかもしれません。
断熱性の低い場所には不向き
一度に大きく温めない関係上、部屋の断熱性が低いと少し温まったそばから熱が逃げてしまいいつまでたっても暖かくなりません。そのため使用の際はなるべく断熱性の高い部屋が推奨されます。
しかし日本独自の環境、特に障子等は断熱性が低く、部屋によっては十分な暖房効果を発揮しません。そういった部屋に置く暖房器具としては不十分と言えるでしょう。
利用の際には、大まかにこのようなデメリットが考えられます。では続いて、金額面の欠点を見ていきます。
オイルヒーターのデメリット(金額)
実用面だけならず、オイルヒーターは金額でも他の暖房より劣る面があります。
利用料が高い
前述の通りオイルヒーターは部屋を暖めるまで時間がかかりますが、当然その間の電気代も余分にかかってしまいます。電力自体は他の暖房器具とそう大差はありませんが、暖機運転で大きく差がついてしまうのです。
例えば毎日利用する場合、暖機に一時間掛かるとすると月に30時間は余分に動かさなければなりません。暖房器具の30時間は大きな出費と言えるでしょう。
捨てるのにもコストがかかる
オイルヒーターの中には当然オイルが詰まっています。ですから他の暖房器具のように単純に捨てる事はできず、回収のために専門の業者を依頼しなければいけません。
回収には高額な手数料がかかる場合があり、もし普通に捨てられる地域だったとしてもオイル抜きが必要で大きな手間となります。使っている時ばかりでなく使い終わった後にも手間がかかる器具と言えます。
ここまで聞くと、オイルヒーターにはいいところが1つも無いように感じる人もいるかもしれませんが、勿論メリットも存在します。オイルヒーターの名誉のため、続いてはメリットについて見ていきます。
デメリットだけではない!オイルヒーターのメリット
普段の取り回しが悪い分、これらのメリットがあります。
音がしない
起動直後こそ少し音がするものの、運転が始まってしまえばほぼ無音と言っていいほど静かになります。部屋の雑音を重要視する人にとっては、他の暖房器具では代用できないメリットと言えます。
空気が乾燥しない
暖かい空気を出すわけではないので部屋の乾燥も抑えられます。今まで加湿器などと一緒に暖房を使っていた人にとっては却って電気代が安くなる可能性もあるでしょう。
無臭である
空気を発しないという事はにおいを発しないという事です。使っていても部屋の臭いが一切変わらないので、においに過敏な人は一考しておくといいでしょう。
火事のリスクが低い
火を使わないので、暖房器具にとって最も注意すべき火事のリスクがとても低いです。また、小さい子どもが火傷する可能性も低いので、そういった家庭には他の暖房器具を抑えてでも採用する価値はあるはずです。
このように、オイルヒーターにも良い点はたくさんあります。ただし、家の環境によってはこのメリットを活かせないどころかデメリットが際立つこともあるので、そういった家の環境について次で紹介しましょう。
オイルヒーターのデメリットを受けやすい環境
家の立地条件や設置部屋の環境を考え、これらの条件の家では設置を見送ったほうが賢明です。
極端に寒い地域
暖房効果の弱いオイルヒーターでは、外があまりに寒いといつまでたっても部屋が温まりません。前述の暖機時間の事も考えると、寒い地域での利用は暖房としての機能を満足に果たせない可能性すらあります。
隙間風が入ってくるような部屋
隙間風が入ってくるという事は断熱性が悪く、熱がすぐに逃げていくという事です。オイルヒーターを使う上で一番適さない部屋ともいえるので、断熱性を改善するか、普通の暖房を使ったほうが賢明です。
これらの条件下では、メリットの前に大前提としての暖房器具としての役割を果たすことができません。環境の改善が望めないのであれば別の暖房器具を準備したほうがいいでしょう。
オイルヒーターのデメリットをメリットが上回るパターン
逆に、以下の条件下であればデメリット以上のメリットを供給できるかもしれません。
小さな子供のいる家
小さな子にとってストーブは第一級危険物と言っても過言ではありません。ですが火傷のリスクを大きく減らせるほか、乾燥やガス臭からも小さい子どもを守れるので、子供のいる部屋にはお勧めです。
乾燥が厳禁な職業の家
声優やニュースキャスターなど、喉が資本の職業にとって乾燥は天敵です。他の暖房より空気の乾燥を抑える事ができるので、就寝中等でも遠慮なく暖房をつけっぱなしにできるのは他の暖房器具ではあり得ません。
一言で言えば、乾燥や子供の火傷に気を付けたい人にとってオイルヒーターは最適の暖房器具と言えます。そういった場面であれば多少のデメリットを無視して利用を検討してもいいかもしれません。
まとめ
オイルヒーターには暖房性能が弱く温まるのに時間がかかるといった実用面でのデメリットの他、利用料金や処分にもお金がかかる金額面でのデメリットもあります。
逆にメリットとしては音や臭いを発しない事と、部屋を乾燥させない事、火事のリスクが少ないという事が挙げられます。これらのメリットを重視する場合は利用を検討してみましょう。
ただし、極端に寒かったり隙間風が多い部屋の場合はそもそもの暖房としての性能を発揮できない可能性が高いです。環境の改善ができなければ利用を諦めたほうがいいかもしれません。
総評すると、コストや効果は割に合わないが、他の暖房器具ではどうしても出てしまう欠点をカバーできる暖房器具と言えます。他に替えのきかないオンリーワンの暖房器具ではあるのです。
これらをどの程度重要視するかで購入を決めたほうがいいでしょう。今回紹介したメリット、デメリットを秤にかけ家の環境と相談しながら決定しましょう。