収入や労働環境が安定しないフリーターにとって、何もかもが安定した公務員はとても羨ましい職業に感じるはずです。しかし、公務員はなろうと思って簡単になれるものではありません。
フリーター以外からも目指す人の多い公務員は倍率も高く、熾烈な競争になる事もまた事実です。そこまでの労力を使ってまで公務員を目指すのは本当に正しいのでしょうか。
今回は、フリーターから公務員になる際のメリット、デメリットを解説した上で、それでも公務員を目指したいという人のためのポイントを紹介します。
漠然と公務員になりたいと考えている人は、今の仕事をやめる前にぜひ一度この記事を読んで検討してください。
フリーターから公務員になる事は可能か?
公務員になるためには、ご存知の通り公務員試験に合格する必要があります。この試験には勿論フリーターでも受験することが出来るので、試験にさえ通ればフリーターでも公務員になる事は可能です。
ですが、試験は正社員として働いていた人たちも数多く受験します。そういった人たちに比べ、フリーターはどうしても立場としては不利になってしまいます。
ですから不可能とは言いませんが、かなりの努力が必要になるでしょう。試験勉強に何年も費やしてようやく合格の可能性が見えてくるかもしれませんし、それでも他に優秀な人材がいれば合格できないかもしれません。
では、そこまでして就職を狙う公務員にはどのようなメリットがあるのでしょうか。試験を受けようと思う前に、一度メリットを整理してみましょう。
フリーターが公務員を目指すメリット
フリーターと比べ、公務員には以下のようなメリットがあります。
生活の安定
給与は勿論の事、民間企業と違い倒産やリストラの心配もない上に勤務時間も常に一定です。来年の展望にも頭を抱えるフリーター業と違って公務員は圧倒的な安定感があるのです。
福利厚生もしっかりしており、一度就職してしまえば人生は安泰と言っても過言ではありません。将来の心配をしなくていいのは人生を送る上で大きなメリットとなるでしょう。
確かなステータスの確保
公務員は十分な社会的ステータスとなり、どこで話をしても恥ずかしくない肩書と言えます。非正規雇用の類語ともいえるフリーター業とは対極に位置するとも言っていいでしょう。
勿論民間企業の正社員でも高いステータスの所はあります。しかし大企業ではフリーターの時点で採用条件から外れる事も多く、自身に確たるステータスを求めるのであれば公務員になるのが一番効果的と言えます。
公務員になるだけでこれだけ大きなメリットがあるのなら、誰でも公務員を目指すことを考えるでしょう。ですが、当然メリットだけではなくデメリットも存在しています。
フリーターが公務員を目指すデメリット
公務員になれば全てが今より良くなる、という訳ではありません。以下のようなデメリットも存在しているのです。
自信の努力で給料を増やせない
公務員の給料は年功序列制で、歩合や残業代等の特別手当もありません。収入が安定するという事は、増やすことも出来ないという事であり、働いた分だけ収入が貰えた今までに比べると張り合いがありません。
フリーターを続けている人は、頑張れば頑張っただけ報酬が貰える事にやりがいを感じる人も多いです。そういった人にとって公務員のルーチンワークはとても退屈に感じてしまう事でしょう。
目指している間は収入が激減する
当然ながら、公務員試験に合格できなければ収入は得られません。勉強にはかなりの時間を費やさなければいけないため、シフトも今までより減らすことになるでしょう。
すると収入は落ち込んでしまい、今までよりも生活が大変になるのです。最終的に合格できればいいですが、そうでなければ減った収入を取り返す算段を一から立てなければなりません。
ただでさえ不安定なフリーター業がさらに不安定になるので、公務員試験に挑む事自体が大きなリスクを抱えているといえるでしょう。
このほかにも肖像権が適用されにくくなったり、副業が禁止されていたりと肩身の狭い思いをする場面もあります。公務員を目指す際には、これらのデメリットをよく加味したうえで受験に取り掛かりましょう。
高卒フリーターでも公務員は目指せるの?
フリーターの中には高校を卒業してすぐにフリーターになった方もいると思います。大学の卒業要件を満たしていなくても公務員になる事は出来るのでしょうか。
これに関しては「国家公務員一般職高卒程度」という高校卒業の要件を満たしていれば受験できる試験があります。大卒用の試験よりも少し難易度が下がるので、高卒のフリーターはこちらを受験すると良いでしょう。
また、専門職の中には自衛官や刑務官など高卒でも試験を受けられる職種もあります。公務員から公務員への転職もできるので、まずはなりやすい職種の公務員を目指すことも戦略の一つと言えるでしょう。
フリーターが公務員試験を受ける時のポイント
ここまでを踏まえ、それでもフリーターから公務員を目指したいという人のために、いくつか意識すべきポイントをまとめました。よく確認しておきましょう。
年齢制限に気を付ける
公務員試験には年齢制限があり、多くは30歳を過ぎると受験資格自体がなくなってしまいます。ですから数年単位で公務員を目指す人は、自身の年齢から何年受験することが出来るのか事前に確認しておきましょう。
面接時にはこれまでの経験と前向きな将来展望をPRする
都合上、フリーターは正社員経験のある人に比べ責任感の欠如や日本語の使い方、ビジネスマナーが不足していると連想されやすいです。そのため、他の人と同じように長所や性格のPRだけでは不十分なのです。
フリーターでもPR出来る点は、これまでの社会経験とこれからの将来展望です。過去の経歴はもう変えられないので、そこで何を学んでどういった考えをもち、どんな将来設計をしているかを具体的にPRしましょう。
狙いやすいのは一般枠
公務員試験には、一般枠と社会人採用枠の二種類があります。違いは、社会人枠は一般枠に比べ、筆記試験よりも論文や面接が重要視されます。
フリーターの立場では、面接やこれまでの仕事を重視されるのは不利になります。そのため受験するなら一般枠を狙った方が合格率が高いです。
筆記試験は経歴を問わず平等に扱われます。必死に勉強して筆記試験で良い結果を残せれば、フリーターであっても公務員の合格が見えてくるでしょう。
まとめ
フリーターから公務員に就職することは可能ですが、立場上一般の人以上の努力が求められます。また、安定性と引き換えに急な収入アップや実績で評価される体制は失われるので、公務員に向かない人は注意です。
フリーターの人が試験を受ける際は、筆記試験の比率が大きい一般枠を狙うのがお勧めです。筆記試験で良い結果を残したうえで、これまでの経験や具体的な将来設計を面接でPR出来れば合格も夢ではありません。
試験を受けるための年齢制限がある以上、使える時間は限られています。残りの年数、今の学力、今の収入や勉強に充てる時間、全てを検討したうえで公務員試験を受けるかどうか決める事が大切です。