離婚後一番不安に感じるのが生活費だと思います。生活保護はその不安を解消できるかもしれない制度ですが、離婚してすぐに受給することはできるのでしょうか?
生活保護には受給するための条件や制約がありますが、受給することができれば一抹の不安は解消できると思います。
そんな生活保護の概要や離婚を理由に受給ができるか紹介したいと思います。
離婚後はお金が不安…そもそも生活保護制度とは?
離婚した後はとにかく生活費が心配になると思います。すぐにでも利用したい生活保護制度ですが意外にもどういった制度でどういった条件や制約があるかはご存知ない方も多いと思います。
生活保護とは生活保護法という法律で規定されている国の制度で、下記の通り定められています。
「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(生活保護法第一条)
生活保護が受給できると食費や光熱費などの日常生活に必要な費用や、家賃、医療サービス、高齢の方であれば介護サービスなどの費用が扶助されます。
しかし国が最低限の生活を保障しますよという制度で、病気や怪我などで働けなくり、収入がなくなった方の保護と自立の助長を目的としているため、働ける方は働かないといけません。
収入が最低限度に達していないという他にも、貯金や土地、車などの財産がないかも調査されます。
また、頼れる家族や親戚がいないことも条件になります。離婚の場合は元旦那が養育費や慰謝料などを払ってくれないかも調べられます。
ですのでなんらかの事情で働くことができず、資産もなく、頼れる家族・親戚がいない方が申請できる制度になります。
離婚したらすぐにでも生活保護を申請したい…申請場所や方法は?
生活保護はお住まいの地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当に申請します。
必要書類は下記の通りです。
- 生活保護の申請書
- 資産や収入の申告書
- 身分証明書
- 健康保険証
- 印鑑
- 必要に応じてその他書類
申請後は原則14日以内に郵送で保護決定通知書か保護申請却下通知書が送られてきます。却下理由に納得ができない場合は不服申し立てもできます。
この申請から通知の期間に福祉事務所により資産や生活状況、就業の可否などの身辺調査が実施されます。
もし申請書に虚偽の記載をしていて、この調査の際に発覚した場合はその時点で申請が却下されるので虚偽の記載は絶対にしないようにしましょう。受給が決定した後に嘘が発覚した場合でも即受給を取り消しになります。
相談の段階では上記書類は必要ないですが、生活が困窮していることを証明するために預金通帳や、離婚して生活保護を受けるためには離婚を証明できる住民票や戸籍謄本があると良いでしょう。
離婚後すぐに生活保護を申請する前に
生活保護の概要と申請方法などについてご紹介してきましたが、「離婚」だけを理由に生活保護を受給するのは難しいと思われます。
現状では生活保護に頼って働く意欲がなく、パチンコ屋で散財する人や表向きは離婚したことにして生活保護をもらいながら一緒に暮らしている夫婦などもいます。
もちろん本当に生活保護が必要で受給している方が大半ですが、そう言った人たちのせいで自治体の財政が圧迫されおり、自治体が受給を渋っているのが現状です。
お子さんがいらっしゃる場合は児童手当や児童扶養手当などの制度もあります。この制度を利用すると子供の医療費や保育料なども無料になったりします。行政によっては親の医療費も一部負担してくれるところもります。
これらの制度を利用できるかもしれないのにいきなり生活保護を申請すると窓口の担当の方の印象もよくなく、結果として生活保護の認定がおりないということもあります。
担当窓口の方も人間ですのでそう言った印象などは少なからず認定の可否に影響は出ると思います。
ですので離婚してすぐに生活保護を申請するのではなく、行政の手当なども視野に入れることも大切です。
離婚前から生活保護を受給している人が継続して受給するには
生活保護を受給しているからと言って離婚ができないということはありません。受給することで制約は生まれますが離婚に関しては規定されていないからです。
しかし生活保護を受給している方が離婚をする場合は、離婚した後も継続して受給するためには手続きが必要になります。
離婚をすると元はひとつだった世帯がふたつに分かれます。これを世帯分離と言います。元の世帯の方では世帯員が減るために変更の申請が必要になり、申請した日から支給金額に変更が生じます。
新たにできる世帯の方では新規の申請となりますので必要書類を準備して福祉事務所にて申請しましょう。
また、生活保護には転居費用の支給もあります。16通りの条件の中に離婚も含まれていますので転居費用については心配はいりません。
離婚して生活保護を受給したものの…その後の弊害とは?
ご紹介した通り生活保護には受給のための条件があります。これはそのまま受給する間は満たしていないといけない制約になります。
例えば預貯金などの資産を持っていないという条件の資産の中には車も含みます。日々の買い物や緊急時にも車が使えないというのはかなり不便だと思います。
担当のケースワーカーには状況の報告などが必要になり自立のための助言などには従わないといけませんので多少窮屈な思いもするかもしれません。
また、ニュースでたびたび生活保護の不正受給などが取り上げられるため世間の目は生活保護に対して否定的です。
働けるのに生活保護を不正に受給して甘えている人のせいで本当に必要な方にも風当たりが厳しくなるのは腹立たしいことです。
しかしもしあなたが生活保護を受給しているということがご近所さんに知れると冷ややかな目で見られるかもしれません。
生活保護の受給のために条件があること、そして一部の受給者のせいで生活保護に対する世間の目は決して肯定的ではないということは弊害になることも考えられます。
まとめ
離婚後の生活保護は有効な手段ですが、申請のための条件や弊害などもつきまとうことをご紹介させて頂きました。
申請の際には担当窓口の方にしっかりと相談することが大切です。申請を受け付けてくれないなどの対応をされた時は法律違反であることを指摘して、場合によっては弁護士などにも相談しましょう。
ひとりで悩まず専門の方に相談することが大切です。特に離婚後は精神的にも疲労が溜まっているでしょうから、ひとりで抱え込まないようにして下さい。