独学で簿記2級の勉強を始める場合、事前に勉強方法を理解しておくことで勉強の効率は格段に違ってきます。効率的に勉強をすることで合格により近づくことができるのです。
簿記2級は平均合格率3割程と決して難しい試験ではありませんが、出題範囲も広く一長一短で見につく知識では合格することはできません。きちんと出題問題や対策を把握して勉強することが大切になります。
今回は独学で簿記2級を勉強する際に有効な勉強方法や、効率的に学ぶコツを紹介していきます。これから独学で簿記2級の取得を目指す方はぜひ参考にしてください。
簿記2級における独学での勉強方法について
簿記2級の勉強方法としては、以下の手順を踏襲するのが良いです。
①テキストで基礎を学ぶ
問題集や過去問を効率的に勉強するためにも、はじめはテキストを使い基礎の勉強を行いましょう。簿記を一から学ぶという方は、理解を深めるためにも一つ下の簿記3級のテキストを利用するのも有効です。
ただし基礎問題にかける時間はなるべく少ない方がよいです。今現在のレベルにもよりますが、特に3級のテキストで勉強を始める際は、メリハリをつけるためにも10日以内には完了を目指してください。
②問題集でパターンを把握
基礎を学んだあとはひたすら問題集や過去問を使い、出題傾向を把握するとともに問題に慣れていきましょう。この時間を効果的に勉強できるかどうかが簿記2級の合否の分かれ目になります。
簿記2級は問毎に出題項目がおおよそ決まっていています。とにかくたくさんの過去問を解き、出題傾向に触れる事で同じような問題が出た際に短時間で回答できるようになるのです。
過去問はインターネット上で無料閲覧もできるので活用してみましょう。
③間違えた部分を復習
問題集などを解いていて躓いた部分は、都度なぜ間違えたかを確認していきす。確認の際は間違えた理由も含めて確認することで同じミスをしにくくなります。
簿記2級の問題は単純な計算ミスが最も頻発するミスなので、よく間違えやすい計算は何度も反復し、ケアレスミスをなくすように努めましょう。
後半はひたすら②と③を反復し、問題への練度を上げていきましょう。続いて各問毎の勉強方法を紹介します。
出題分野別、簿記2級の勉強方法
簿記2級は問毎に出題傾向が決まっており、それぞれ個別の勉強方法を行う必要がるのです。具体的には問1~問3までが商業簿記、問4と問5が工業簿記の問題になります。
問1:仕訳形式の問題
仕訳に関する問題が出題されます。勘定科目をよく間違えるので、勘定科目の分類をしっかり勉強しておきましょう。
問2:簿記一巡の手続き
理論問題や伝票式会計等が出題されます。中でも伝票問題は満点が狙いやすいので、出てきたら満点をとれるよう勉強しておきましょう。
問3:表の作成
財務諸表や精算表の作成を行います。この問は項目が多く満点を狙うには時間がかかるので、なるべく部分点を狙えるような勉強が大事です。
問4:工業簿記
工業簿記での帳簿記入や財務諸表作成が出題されます。一部商業簿記と処理方法が異なるので、両者の違いをよく勉強しておきましょう。
問5:原価計算
原価計算位関わる内容の問題が出題されます。パターンは多いですが覚えることは比較的少なめなので満点を狙って勉強しておきましょう。
主にこれらの内容が出題されます。点数が安定しやすい商業簿記に比べて工業簿記は難易度がばらつきやすいので、満遍なく回答できるよう勉強しておきましょう。
テキストを利用した簿記2級の勉強方法について
問毎の出題内容を紹介したところで、これらを勉強するのに利用するテキストの効果的な方法も解説していきます。具体的には、テキスト利用の際は以下の点に注意してください。
テキストで勉強する期間をあらかじめ決めておく
前述の通り簿記2級の合格率を高めるためには勉強期間のほとんどを過去問の反復学習にあてるのが一番効果的です。そのため基礎を学ぶためのテキストに時間をかけるのは得策ではありません。
独学での学習スケジュールを立てる際はテキストに使う時間を事前に決めておくことで、勉強にメリハリが生まれるので有効です。
早い段階で複数のテキストに手を出さない
簿記2級は、基本的にテキストの内容を一通り覚えれば合格できる内容になっています。ですから複数のテキストを覚えるよりも1つのテキスト内容をきちんと覚えたほうが効果的なのです。
最初の何も分からない頃に複数のテキストを使ってしまうと知識が散らかってしまいかえって対応できる問題が減ってしまいます。勉強の際は1つのテキストを集中して覚えるようにしましょう。
効率的な簿記2級の勉強方法とは!
以上の点を踏まえたうえで、効率的な勉強方法を確認していきます。
暗記等は隙間時間に勉強する
過去問を通しで勉強する場合ある程度まとまった時間が必要になります。ですから暗記や伝票などの短時間で勉強できる内容は、できるだけ隙間時間に行った方が効率的です。
通勤中や休憩中等のすき間時間に暗記の勉強を充てることで、帰宅後の本格的な勉強は問題集や模擬試験に集中することが出来るのです。
基礎を学び全体像を把握する
簿記の試験に限った話ではありませんが、全体像を把握していないうちに過去問などに取り組んでも分からないことが多すぎて効率的な学習ができません。
まずは期間を決めて基礎を徹底的に覚え、そのうえで過去問に取り組む事でより効率的に知識を身につける事が出来ます。
ケアレスミスをなくす努力をする
簿記2級の問題は計算や引っ掛け問題も多いです。特に表計算等では最初の数字を間違えると後半の数字にも影響が出てしまい大きく減点されてしまいます。
普段過去問をこなす中でしやすいケアレスミスはよく認識しておき、本番の試験で間違えないよう気を付けてください。
勉強の際はこれらを意識することで効率的に学習することができます。そして最後に、勉強する上で気を付けるべき事もまとめて紹介します。
これはNG!簿記2級の間違った勉強方法
独学で勉強をする際には、特に以下の点に気を付けてください。
メリハリのない学習
簿記の勉強において大事なのは用語一つ一つを完璧に覚える事より処理の仕組みを覚えることです。そうすれば似たようなやり方の問題に対応でき、満点は取れなくても合格点が取れやすくなります。
基本を理解するのが何より大切なので、過去問であまり出てこない内容の問題まで一言一句覚える必要はないのです。特に全部覚えようと真面目に勉強してしまう方は気を付けて下さい。
基礎をおろそかにする
上で紹介したように、簿記の試験で一番重要なのは基本の計算式や処理方法です。多少変わった問題が出ても理論は一緒なので基礎さえできていれば合格点をとれる確率が上がります。
応用問題や難問を覚えることに達成感を感じる方もいますが、これらの問題は出題傾向も少なく応用が利かない場合が多いです。応用問題は余裕がある時にこなし、基本は基礎を学ぶことに集中しましょう。
模擬試験の点に拘る
勉強の本質は苦手な部分を克服するためなので、点数を求めて得意な勉強ばかりしていてはいつまでも力がつきません。苦手な所をそのままにしては大事な本番で点数が取れなくなってしまいます。
大事なのは本番で点数を取る事です。練習で悪い点数を取ったとしてもあまり深く考えず、苦手な部分がわかったとプラスにとらえるようにしましょう。
まとめ
独学で簿記2級の勉強をする際は、まずテキストを使い基礎を勉強しましょう。その後過去問を繰り返し行い出題傾向や問題内容を把握し、ひたすらできない部分の復習と過去問を反復練習しましょう。
簿記2級の試験で一番大事なのは基本の計算や勘定科目を覚えることです。なので隅から隅まで覚えたり全て満点を取るつもりで勉強するよりも、基本を把握してしまえば応用が利き合格点を出しやすくなるのです。
これから簿記2級の勉強を始める方は、ぜひ基本を押さえる事を第一に勉強してください。満点は難しいかもしれませんが、安定した点数が取れるようになるはずです。