実家に帰った時、おばあちゃんが昔から漬けている古い梅干しを目にしたことはありませんか?ものによっては何十年もつけっぱなしになっているものもあり、どう処分するか考えた事のある人もいるでしょう。
実はその古い梅干し、何年経っていようとおいしく頂くことが出来るのです。正しい保管方法で漬けられた梅は腐る事がないので、大昔の梅干しだろうと安心して食べる事ができます。
梅干しはいつまで漬けておけるのか?どんな使い方があるのか?今回は、古い梅干しについて腐らない理由や歴史を解説するとともに、おいしい使い道を紹介していきます。
家に大量の梅干しが漬けてあって扱いに困っている人は、ぜひ目を通してください。
古い梅干しは食べられるの?
結論から言えば、正しい保存状態にある限り古い梅干しであったとしても問題なく食べる事ができます。梅干しは腐らない食べ物として知られており、いつまでも保管しておく事ができるのです。
これは一年、二年の話ではなく、それこそ大昔に漬けた梅干しであっても問題なく食すことが出来ます。ですから家に大量の漬け梅干しがあったとしても、全て食べられるので安心してください。
年代物になると、10年はおろか100年以上前に漬けられた梅干しも存在します。そんな梅干しですが、その効果は大昔から知られており、実はかなり古い歴史を持つ食べ物なのです。
古い梅干しの歴史
日本に存在する最古の梅干しは、奈良県にある歴史施設に収められています。漬けこまれたのは1576年ごろと言われているので、今から500年以上も前に漬けこまれた梅干しという事になります。
それだけ歴史のある食べ物という事になります。因みにこの梅干し、食べた人こそいませんし勿論食べていいものではありませんが、依然として腐っていないので食べようと思えば食べる事も可能です。
元々梅干しは漢方として昔から親しまれていました。書籍でいうなら、平安中期に書かれた医学書「医心方」にも薬としてその存在が記されているほどです。
幕末から明治にかけ、漢方としての用途の他保存食としても注目を集め、多くの需要を生み出してきました。それが今日まで続き、保存食、健康食として親しまれているのです。
今でもインターネット上のサイトでは、大昔の梅干しが高値で取引されています。中には一粒一万円を超えるような超高級梅干しも存在しているようです。
そんな由緒正しい歴史のある梅干しですが、そもそもなぜ食べ物であるにもかかわらずこんなにも長期間腐らずに保管できるのでしょうか。
古い梅干しが腐らない理由
長い間保存しても梅干しが腐らない理由には、梅干しの中に含まれているクエン酸が大きく関係しています。このクエン酸には強い殺菌作効果あり、多くの菌の殺菌に活用出来る事が研究でもわかっています。
食べ物が腐るのは腐敗菌という菌が食べ物に付着するからなのですが、梅干しの場合はクエン酸の殺菌作用が腐敗菌を退けてしまうのです。そのため梅干しは腐りにくいという訳です。
また、漬け込みの際に使われる塩にも腐敗を抑制する効果があります。塩分には雑菌を死滅させる効果があり、塩分に覆われている食材はそれだけで腐りにくいといえます。
これらの理由から、梅干しは他の食材と比べ極端に腐敗しにくく、長い年月保存しておくことが出来るのです。では、そんな長年漬け込んだ梅干しはどうやって食せばいいのでしょうか。
古い梅干しの使い方
大前提として、梅干しは漬ければつけるほどおいしくなるわけではありません。あくまでいつまでも保存しておける食材だという話で、ワインのように熟成をするわけではないので気を付けてください。
基本的に長年漬け込んだ梅干しは、そのまま食べると塩気が強すぎて食べれたものではありません。ですから一度流水などで塩気を落としたうえで、以下の用途に使うのがお勧めです。
そのまま食べる
古いとはいえ梅干しなので、そのまま食べるなりおにぎりの具材にしても全く問題ありません。ただし長く漬け込んだ梅干しは塩気が強くなりがちなので、そのままは少ししょっぱすぎるかもしれません。
甘梅干し
梅干しを洗って天日干ししたものを赤紫蘇と一緒に、氷砂糖やはちみつで漬けこんだものが甘梅干しです。古い梅干しならではの塩気が無くなり、甘みを付ける事ができるので食べやすくお勧めです。
臭い消し
魚や肉を煮込むときに梅干しを加える事で、臭みを取る事ができます。ほのかな梅の風味を加える事も出来るので、普段の味付けに飽きてきた人は一度試してみてください。
ジャム
水につけて塩抜きした梅を潰して、砂糖と混ぜて煮込むことでジャムが作れます。肉や魚、揚げ物などに塗ると甘酸っぱい風味が楽しめるのでご賞味ください。
市販の古い梅干しでも食べられる?
さて、ここまでで梅干しがどれだけ腐りにくいか分かっていただけたと思います。しかしながら、これはあくまで適切な保存を行った梅干しの話であり、スーパーで売っている梅干しはこの限りではありません。
というのも、市販の梅干しは食べる人の事を考えて減塩されているものが多く、殺菌作用が十全に作用しないのです。そのため腐敗菌の増加を抑える事ができず、いずれは腐ってしまいます。
見分け方としては、外見の色が変わっているか注視してください。腐っている梅干しはカビも生えやすいので、うっすらと白く変色している部分が出てきます。
自家製で漬け込んだ梅干しはカビが生えても漬け込み直すことで食べられるようになるものもありますが、市販の梅干しはそうもいきません。買ってきた梅干しはなるべく賞味期限前に食べきったほうがいいでしょう。
まとめ
梅干しは保有しているクエン酸と漬け込みに使われる塩の殺菌作用により、適切な保管を行えば腐ることなく保管する事ができます。例え100年前に漬け込んだ梅干しだったとしても大丈夫です。
梅干しは大昔から日本でも親しまれており、最も古いものでは500年以上前の梅干しも現存しています。保存食や漢方として重宝されており、現在でも健康用品として人気を誇ってるのです。
古い梅干しの使い道としては、塩気を落とせば通常の梅干しと同様そのまま食べても大丈夫です。他にはジャムにしたり臭い消しに使ったりと言った用途でも、梅の風味がいいアクセントとなります。
実家の車庫や台所などにある大量の漬けこんだ梅干しは、実はどんなに昔のものでも食用として使う事ができます。処分を検討していた人は、少しずつでも使ってみてはいかがでしょうか。